2010年2月27日土曜日

COBITという物差し

IT導入を検討する上で、成功するため(失敗しないため)には、どのレベルを想定すべきでしょうか?著名な成功事例をそのまま一足飛びに自社へ適用しても、現況の社内リソース・成熟度ではギャップが生じることが多々あります。何らかの物差しが必要です。そこで今回のテーマ。

米国の情報システムコントロール協会[ISACA]が提唱する、IT管理に於けるベストプラクティス(最も効果的、効率的な実践の方法)をまとめた「COBIT[Control Objectives for Information and related Technology](コビット)」という資料・ツール群があります。

これは、情報システムを適切に構築・活用するために、ITガバナンス(統治)の成熟度を測る国際的な規格であり、IT関連業務を34のプロセスに分類し、更に「計画と組織」「調達と開発」「運用と支援」「モニタリング」の4つに分類されています。

そして、それらの項目に対し、以下の指標で自社のレベルを測ります。

 レベル5:最適化されている(Optimized)
 レベル4:管理されている(Managed)
 レベル3:定義されている(Defined)
 レベル2:反復可能(Repeatable)
 レベル1:初歩的(Initial)
 レベル0:存在しない(Non-Existent)

レベルは1つずつ計画的に上げてゆきます。
結果として、IT投資に於けるリスクとコントロールのバランスを見たり、評価に使ったりと様々です。
我々、ITコーディネータもCOBITの成熟度モデルを活用しています。
現在、「COBIT4.1 日本語版」がリリースされているので、是非、一読を。

2010年2月20日土曜日

要件定義と要求定義

日本語は非常にアナログで、解釈が多岐に渡り、ビジネスに於いては誤解を招くことが多々あります。IT化を実現する上では、「仕様の明確化」は非常に重要です。IT導入の初期段階には、「要件定義」が存在しますね。

まず、「要件定義」とは何でしょう?企業・団体毎に解釈が異なるのでしょうが、一般的には、「システム構築や開発に於いて、どのような機能を実装すべきかを決定すること」で、これを書面化し、各ステイクホルダーで合意形成されたものを「要件定義書」と呼びます。

では、この「要件定義書」は本来、誰が考え、作成するのでしょうか?ユーザ(ITを利活用する部門や企業)側か、それともシステム構築・開発を行うベンダー側でしょうか?難しいところですが、答えは「ベンダー側」となります。

ベンダーが要件をまとめ、開発する?ユーザは各合意の場に居るだけ?いいえ、そうではありません。そもそも、要件を定義する上では、エンジニアによる技術的な見解が必須であり、IT資源調達計画後に選定されたベンダーをパートナーとし、外部リソースであるエンジニアにユーザの要求事項に対する次期システム要件を定義させます。もちろん、ユーザ部門・企業の合意が必要なのは言うまでもありません。

と、言うことは、定義すべき要件が存在する前に、要求事項が存在することになります。つまり、「要件定義」 の前には「要求定義(要求仕様)」が必要だと言うことです。これを書面化したものが「要求定義書」です。

この「要求定義書」の作成はベンダー側の仕事ではありません。ユーザ側がベンダーに提示するためにまとめる定義書です。繰り返しになりますが、ユーザ側は経営戦略に整合したIT戦略の策定を行う中で課題を可視化し、自社(または自部門)の新業務プロセスをまとめます。そして、これを次期ITの要求事項としてベンダーに提示する形式的なもの「要求定義書」として作成します。要求の定義なしにユーザ側はベンダー側に要件定義をしろ、とは言えません。

ベンダー側はこの「要求定義書」を元に「ユーザ要件のシステム定義」をします。ベンダー側はユーザ側が定義 したものを「そのまま」システム開発する訳にはいきません。なぜならば、技術的な見解からの実現可否やコスト面、スケジュール、品質等を勘案しなければならないからです。

もちろん、ユーザ側に技術力があれば要求定義から要件定義にまで発展させ、設計以降をどうするか考えればいいでしょう。

しかし、その反面、ベンダー側には「言われた通りにシステム化すればいい」という考えではいかなくなります。要件定義能力が問われることになります。ここが崩れると以降のフェースがうまく進みません。

とは言え、要求定義もかなり難しい作業です。場当たり的な問題を抽出するのみに留まるケースも多々存在します。どのように進めてゆけばいいのか?そこは、いつでもご相談下さい。一緒に汗をかいて頑張ります!

2010年2月13日土曜日

サムライ・ニッポン、始動!

バンクーバー冬季五輪が本日開催しました!華やかな開会式には非常に癒されました。世界の壁が取り払われ、ひとつになった気がします。ハイチ共和国をはじめとする被災国や開発途上国、紛争国などを除いては。。。

さて、オリンピックでの競技とは異なり、国際競争力が急速に求められる中、日本企業はグローバルで、どう戦ってゆけばいいのでしょうか?IT業界もナンダカンダ言っても、「米国のふんどし」を絞めていますし、見渡せばデファクトスタンダードは我が国発は数えるほどしか有りません。ニッポンのお家芸とは何でしょう?

品質と技術力では高い評価を得るものの、この先、どう諸外国と戦えばいいのやら。日本のアニメは海外では高い評価を受けていますね。映画祭では数多くの受賞を得たり、コスプレやオタクも世界中で増殖しています。ソフトウェア媒体として流通も容易なので、外貨を得る手段として基幹産業になり得ますね。

しかし、アニメが評価されている点は技術面もありますが、表現方法や感覚など、諸外国にとって簡単に横持ちできない点に有るのではないでしょうか?例えば、日本には「色」が沢山あります。桜色、藤色、亜麻色、山葵色、萌葱色、鳩羽色、黒紅、団十郎茶、露草色、山吹色、などなど。
(詳しくは「和色大辞典」 http://www.colordic.org/w/

食文化に於いても、豆腐や納豆をはじめ、和食は世界でも高く評価されています。 サムライ、ハラキリ、スシ、ゲイシャも含めて、世界に通用する「ニッポン」色を出さなければ、近隣アジアの諸外国にさえ勝てません。

最近輸出された「モッタイナイ」など、日本らしい言葉です。真似のできない強みを経営に活かし、過当競争に陥らないための「らしさ」を皆さんと見つけてゆければと思います。関西発信の良き文化を筆頭に。

2010年2月6日土曜日

誰のための何をする?

ここ最近、トヨタ自動車のリコール問題が世間を騒がせております。アクセルペダルのリコールに係わる一連の問題に関しては、社長自らの陳謝がありました。一方では、プリウスのブレーキ問題では、トヨタ側の言い分も色々とあるでしょうが、今ひとつ、しっくりこず、信頼回復には時間を要しそうです。

昨今、消費者の安心・安全への関心は日増しに強くなってきており、マスコミの取り上げ方も加熱気味です。過去の乳業メーカーの例ではありませんが、対応方法を一歩誤れば、今までの長い歴史に傷を付け、大きな痛手を負うことになりかねません。

さて、私事ですが、昨年末に手配した商品券(マッサージ券)が2ヶ月たっても私の手元に届かず、発送元に問い合わせました。その結果、発送済みとのこと。しかし、確かに受け取っていない!状況確認すると、担当者から「送料は発送者負担としているため、(送料を考慮して)普通郵便で送付した」とのこと。発送方法の明記も無く、ましてや記録郵便にしていないことなど、当方の知ったことではない。

これらのことを申し立てると、スーパーバイザーなる方から早々の謝罪と同時に再発送の完了連絡が入りました。迅速な対応にそれほど熱くならずに済みました。。。

とは言え、商品重複請求の疑いが晴れている訳でもなく、真相は闇の中。そこで私は「郵便物等調査」なるものを郵便事業株式会社へ申し出ることに(仕組みがあります)。結果として、紛失か誤送か盗難か等は判らず、自宅へは連絡と同時に所轄責任者印での謝罪報告書が届き、万事休す。

まぁ、ITシステムのトラブル等でもそうですが、「品質が」や「仕様が」、「契約書が」、「解釈が」、「打ち合わせ時に言った言わない」などは、後から何とでも言える、できることでしょう。先ずは、犯人探しや原因探しよりも、「今は誰のために誰が何をいつまでに、どのようにするか」を真っ先に考えなければいけないと思います。ましてや、事が重大であれば、トップが率先して、周りにも見えるように行動しなければなりませんね。