2009年12月26日土曜日

企業ドメインで戦え!

クリスマスも終わり、もう直ぐお正月。お休みに入る前に気を引き締めて、チョッと真面目なテーマを選びました。本日のお題は、「企業ドメイン」についてです。

まず、ドメイン[domain]とは何でしょう?和訳すると、「領土・範囲・領域」となります。つまり、経営学上での企業ドメインは、「企業が生存するための活動領域(事業領域)」を意味し、この事業領域は、自社の強みを発揮し、将来のあるべき姿を決定する重要な領域なのです。

この企業ドメインが定まれば、その配下で事業ドメインが選択・決定されます。これらドメインは、事業戦略ポートフォリオ(複数の事業を行う企業に於いて、事業ごとの収益性や成長性を分析し、将来、どの事業に経営資源を配分するかを判断するもの)で示されます。それには、収益性や実現性、事業の魅力、そしてリスクを評価しなければいけません。

この企業ドメインの決定には、SWOT分析を用いたりします。そして、価格競争力や高い品質、多品種、短納期、真似のできない顧客サービス、製品開発能力、などの独自性にて決定したり、市場ニーズを汲み取って決定したりします。

また、「マーケティング近視眼」を論じ、マーケティング分野で中心的な人物と言われているセオドア・レビット教授(ハーバード・ビジネススクール)は「客は1/4インチのドリルが欲しいのではない。1/4インチの壁穴が欲しいのだ」(昨年、1/4インチのドリルが大量に売れたのは、これに魅力を持つ人が多かったのではなく、壁に1/4インチの穴をあけたい人が多かったのだ)という言葉を残しています。

同時に、「写真」「洗濯機」といった物理的定義ではなく、「情報記録」「クリーニング」といった機能的定義が重要であり、米国鉄道が衰退したのは旅客及び貨物が減少したのではなく、「鉄道事業」と捉え、「輸送事業」と定義しなかったこと、と主張しています。物事を広く、また表裏を捉えなければ、領域を狭め、多様化する顧客ニーズを見逃してしまいます。

企業ドメインは、「コンセプト(コーポレート・アイデンティティ(CI:Corporate Identity)も包含」)で示される場合もあります。本田技研工業では、「The Power of Dream」。夢を描き、かたちにしようとするとき、そこには大きな力が生まれると、表現されています。その結果、ドメインはクルマのみならず、ロボットの領域にも広がっていますね。事業ドメインでは、「クルマを救え:Honda Green Machine」を掲げています。その他、日本電気[NEC]では「Empowered by Innovation」、花王「よきモノづくり」など。







2009年12月18日金曜日

RFIDで企業力を高めろ!

ITによる業務改善は日々進化を遂げています。その中でも「RFID(Radio Frequency Identification)」を活用した事例が最近は非常に増えてきています。本日のお題は「RFID」ですよ。

さて、今更ですが、「RFID」って何でしょう?簡単に言えば、「電波による個体識別」のこと。うーん、もっと噛み砕いて言えば、電波を受けて働く非常に小さな電子チップである「ICタグ」を、各種電波(HF帯、UHF帯、マイクロ波帯の各周波数)にて読み取り機(ICリーダ)が情報を得る仕組みを指します。

例えば、非接触ICカードとして、乗車・定期券のICOCA、Suica、PiTaPaや、電子マネーのEdyなどが挙げられます。

特徴としては、データ容量が大きく、データの書き替えができ、非接触でも通信が行える、また加工も容易であるなど、メリットがテンコ盛りです。(流出の観点からキャビン・アテンダントさんの制服に仕込まれていたり、農家の方の顔が見える農産物の流通に使われたり、またペットの体内に埋め込む計画で波紋を呼んだりもしてましたが。。。)

業務の効率化・省力化に向けてのFRID活用シーンは多岐に渡ります。セキュリティを勘案した入退室管理を始め、ロケーションを考慮しない製品・資材・金型の管理や、在庫移動、製品の入出荷管理、受け払い管理、労務費や実績収集(出来高)の把握、工程管理など、多彩な分野で活躍できるため、アイデア次第では省力化・自動化・精度向上・生産性向上などに大きく貢献します。

ますます単価も下がってきたICタグに加え、データ書き換えも自由に行える発行プリンタもお手頃で、バーコードやQRコードからの世代交代も進んでいるのが現状です。皆さんのお仕事では何処に当てはまるのでしょうか?アイデア出しはお任せ下さいね。どんどん、お問い合わせを。

2009年12月11日金曜日

ダブルループという考え

経営戦略に整合するIT戦略の策定や構築、利活用を成功に導くためには、全ての活動を通じて、事前に設定した計画や目標に対して進捗を確認し、評価・検証・改善を継続して行うことが非常に重要です。ITコーディネータのプロセスガイドラインには、「モニタリング&コントロール」として構成されています。

評価・検証・改善を継続的に行うことも大切ですが、「このモニタリング&コントロールの仕組みそのものがうまく機能しているかどうかを評価・見直すこと」も重要です。これを「ダブルループ」と言います。

体温計や体重・体脂肪計を使って毎日のカラダの状態をチェックし、健康の維持・改善を試みたところで、これら体温計や体重・体脂肪計自体が壊れていた、または性能に問題があれば、今まで何のために計測していたのか意味を成しませんよね。

水の事故を防止するために配置したプールの監視員が居眠りをするというリスクに対して、「プールの監視員を監視する」のもいいですが、「運用やコスト等のバランスを勘案した」サービスレベルが求められます。「監視員の視界範囲を重複させる」、「休憩時間を監視時間帯によって有効的に配置する」とか。

モニタリング&コントロールのプロセス自身も戦略目標と整合し、関連性が無くてはなりません。こういった活動を通して、経営の品質がブラッシュアップされるんですね。

2009年12月4日金曜日

シロクマは泣いている!

突然ですが、地球温暖化は急速に我々の足元を脅かしています。な、な、何とかしなければなりません!

先日、休日に「森・未来・社会」について考えるシンポジウムを聴講しました。基調講演ではC.W.ニコル氏が「森からみる未来」をテーマに、ニッポンの森に関するお話を頂き、非常に関心を持ちました。ニコルさんの活動事例が紹介され、深刻な地球環境保全への理解が深まりました。

その後は活発なパネルディスカションが行われました。その中で「排出CO2削減に向けて、家庭で行える身近なトレード」が挙げられ、大変感心したので、この場でチョッとご紹介を。

エアコンの設定温度を上げる(夏場)、または下げる(冬場)ことで節約されたであろう電気料金を子供達のお小遣いに還元するというもの。子供達は自主性を持ってCO2排出権をお小遣いでトレードする。夏場はうちわを使い、冬場は部屋で厚着をし、電気の付けっ放しや待機電力を抑制、家族の電力無駄遣いに目を光らせる。結果、初期設定した電気料金に対する削減費用がお小遣いとして手に入る。
子供達も目的を持って、間接的にではありますが地球環境への保全対策に取り組み、意識の向上にも繋がっている様子。

何と素晴らしい!こう言ったアイデアは私は好きです。クリック募金(当ブログの右側にバナーがあります)も資金提供者と受給者の架け橋となるモデルです。誰も損(?)しません。皆が得(?)します。

マクロで捕らえると実感が沸かないところをミクロに考える。そして、できることから実践する。アイデアを持って。私には何ができるか?取り敢えずはクリック募金の普及かな?

空腹を我慢せざる得ない子供たち、学びたくとも学校の乏しい国々、ハンディキャップを望まずして背負ってしまった人々。。。皆、我慢をしています。文化や風習の異なる国々でも、同胞でもフェアに、同一スタートラインに立たなければズルイです。世界市民として、国境を感じず、できることから皆でサポートしましょう!是非、時間がある時にクリックしてみて下さい!

2009年11月28日土曜日

クロをシロに変える言葉遊び?

今回のテーマは、「言葉と思考」。何だかエラそうで硬いなぁ、と思われるかも知れませんが、まぁ、お付き合いを。

「言葉」は意思伝達する上で非常に大切な道具ですよね。メール活用が当たり前になった昨今では、言葉の使い方や表現方法、言い回しは大変重要視されています。文章だけでは誤解を招いたりするケースも多々あります。直接面談では顔の表情やジェスチャー、抑揚などから表現が緩和されるケースでも、テキスト(コンピュータで扱う文字列や文章)では、「怒ってるのかなぁ」と、表現がきつく、硬くなったりするので工夫が必要です。

少々次元が異なりますが、「思考」方法も人と人が接する上で悪い事象を良くしたり、その逆にしたりと、見方を変えれば面白いものです。そこで、以下に『邪馬台国はどこですか?』(鯨統一郎著書:創元推理文庫)から少々、引用させて頂きます。(「~」は中略)

【女性】
「日本の教育レベルも地に墜ちたわね~現役の女子大生がソープランドで働いていたっていう記事が~」
【男性】
「日本はトップレベルの教育国になったようだな~だってその記事を信じるなら”日本ではソープランド嬢も大学に通っている”とも取れるからね」

【女性】
「やっぱり料理は素材ね」
【男性】
「料理の素材は悪い方がいい~素材が良ければ生で食べるのがいちばんだ~料理と言うのはね、悪い素材をどうやったらおいしく食べられるかという工夫なんだ」

【女性】
「残虐でやりきれない事件が多発して~なんだか世の中がどんどん悪くなっていくような気がするわ」
【男性】
「世の中はどんどんよくなっている~織田信長は今でいえば総理大臣だろ?現代では少なくとも総理大臣が大虐殺をするようなことはなくなった」

この作品は歴史上の「事実」とされている部分をバッサリ斬るミステリ小説で、歴史上の固定観念を簡単に壊してくれます。お勧めしますよ。最近、「邪馬台国」と言えば奈良県のニュースが流れましたが。。。

さて、表現や見方を少し変えれば如何様にも方向転換が図れます。例えば、「ワンマンな経営者」は傲慢で、社員の声に耳を傾けない「お山の大将」をイメージしますが、「強靭なリーダーシップを持つ経営者」と採れば、自らが道を切り開き、社員をグイグイ引っ張ってゆくプラスのイメージを与えます。同じ人物なのに両面を持ちます。

SWOT分析にて「S:Strength(企業の持つ強み)」、「W:Weakness(企業の持つ弱み)」、「O:Opportunity(事業機会)」、「T:Threat(事業脅威)」に於いて、「ワンマンな経営者と強靭なリーダーシップを持つ経営者」は、「S:強み」でしょうか、「W:弱み」でしょうか?表現や見方の違いでどちらとも採れる場合は両方にプロットしてもいいようです。

●最近の大学生は大麻や覚醒剤に手を染める傾向にある=これはダメ!
●大麻や覚醒剤に手を染める連中が大学に通っている=将来は明るい?

言い方一つで意味合いが180度変わりました。思いや考えを伝達する手段として使われる言葉。モノはいいようですね。














『邪馬台国はどこですか?』
(鯨統一郎著書:創元推理文庫)

2009年11月21日土曜日

明日のために過去を捨てろ

いやぁ、冷え込んできましたね。冬将軍が鍋将軍を同伴しての到来です。お鍋が楽しめる季節になり、ますますメタボが気になります。。。最近ではカレー鍋やチーズ鍋などが登場しており、鍋スープ市場は急激な拡大を図っているようです。

さて、今回は「予見と目標設定」について考えてみましょう。
戦略立案に於いて、将来の姿を描くためには、現状や過去の事象を様々な角度から分析し、ビジョンを描きます。
その考え方には「Forecasting」と「Backcasting」と言う考え方があります。

まず、「Forecast(フォーキャスト)」ですが、台風の進路予想のように、今後の進路を予測するために過去から現在に向かって線を引き、その延長線上に将来の姿を見出す方法です。

この方法では、「将来のあるべき姿」ではなく、「将来のあり得る姿」を予見することしかできません。つまり、戦略の立案や目標設定を行う上での指標の一つであり、そこに意思は入りません。マーケティングや在庫・資源の有効化に於ける需要予測などは、季節変動や地域属性を加味した分析が必要ですが、科学に基づいた結果の照会でしかありません。

一方、「Backcast(バックキャスト)」では、将来のあるべき姿を描き、そこから現在を振り返ってすべきことを決めてゆく方法です。そのためには短期・中期・長期での計画を立案し、通過地点での評価指標(KPI:[Key Performance Indicator])を定めて実践してゆきます。ITコーディネータはこちらの手法を採っています。

そのため、将来の「あるべき姿」の構築は非常に重要です。これがぶれていると道を誤ります。なお、ITCプロセスガイドラインでは経営戦略を「企業における種々の経営課題を解決するために、ステイクホルダーが期待する企業のあるべき姿(To Be)と現状(As Is)とのギャップを埋める企業全体の重要施策である」と定義しています。

目指すべき目標に向かって何をすべきか?「今はこうだから、将来はこうだ」では、事象を分析し判断する視野の狭いアナリストでしかありませんよね。あるべき姿を描くって、とても大切なことなんですね。

2009年11月13日金曜日

市場は椅子取りゲーム

昨今の少子高齢化。どうも歯止めが利きませんね。このままでは日本の人口が1億を切るのも時間の問題です。新政権下で、政治的な対策を期待せざるを得ませんが、なかなか抜本的な解決案を見出すのは困難な状況です。

このような中で、企業は大きな変貌を求められています。食品メーカーでは胃袋の減少から高付加価値・高機能化による維持・拡大が迫られており、加工食品でも海外市場に目を向け、日配系でさえ現地化が益々進みます。

もちろん、家電や自動車、アパレルなども輸出では物流コストをカバーできず現地化が一層進み、空洞化が懸念されます。それでも競争の激化は避けられず、国際競争力への対応が求められ、今以上の経営統合などが進むのではないでしょうか?もちろん、旅行業や運輸、サービス等の非製造業も同様です。農業や漁業等も。同時に雇用の確保も問題化して行きますし。。。

あぁ、何だか暗くなりますね。少子化問題は抜本的に考えなければ、内需拡大の観点より、日本の将来に夢もチボーもありません。景気対策といったミクロな課題と平行して、「3人目以降の子供は学費を生涯無償化する」とか、「不妊治療の助成」、「出産・育児に優しい社会の構築」など、マクロに検討せざるを得ません。もちろん懸案事項は山盛りですが。

医学的には先進国に於ける精子の減少や劣化も見受けられ、少子高齢化を目の当たりにして、私にできることは3人目を作ることでしょうか?現実は難しいですが。(無理です。)

取り留めもない話しになりましたが、ニッポンが世界的に優位に立てる強みを見出し、外貨を稼ぐためにも微力ながら働きますよぉ。皆さん、お仕事下さいね!では、今日はこの辺で。

2009年11月7日土曜日

IT活用、継続は力なり

暑くなったり寒くなったり、11月に入っても何だか良くわからない気候が続きます。皆さん、体調管理には十分ご注意を!

さて、前回(2009年10月24日:「リスクを全て洗い出せ!」)までは「IT導入フェーズ」について書きました。ITコーディネータ・プロセスガイドラインに基づき、いよいよ最終フェーズ「ITサービス活用」に移ります。

このフェーズでは、目的は大きく分けて2つあり、「IT導入フェーズ」で構築された新規IT環境の目標達成を目指す活動を行うことと、IT動向を見据えた更なる改善・改革を行うことが挙げられます。

そのためには先ず、サービスレベルマネージメント(SLM)を具体化します。ITの提供部門と利用部門の間でサービス品質を取り交わし、後に効果測定ができ得るようにしておきます。この測定指標は期待以上ではなく、期待したレベルで維持できているかや、使い勝手の良さ、信頼性の高さなどを測ります。
大切なのは測定指標を設けることだけではなく、「いつ、誰が、何処で、どのように」といった測定タイミングとその方法も決定しなければいけません。

その後はサービスレベルの差異分析や改善活動を行ったりします。場合によっては経営の全体最適の観点からサービスの変更要求に対する管理や調整を図ったりします。
そして、IT戦略実行計画書で設定した重要業績評価指標(KPI:[Key Performance Indicator])や経営目標達成指標(KGI:[Key Goal Indicator])の達成度評価を図り、定期的なIT化の総費用対効果を評価します。

原点に戻って、「何のためにこのITを導入したのか?」「その結果、成功したのか、失敗だったのか?」「その失敗の原因、または成功の要因は何だったのか?」「投資に対する効果は?」を、しっかりと考えなければいけませんよね。但し、ここまでがゴールではありません。業務部門とITサービス提供部門は継続的な改善や改革に向けて定例会等を通して、提言活動を行うことが必要です。組織横断的な視点で、経営の全体最適の観点から。

概要ばかり書いてきましたが、これからはポイント毎に詳細レベルまで落として書いてゆきたいと思います。今後もお付き合いを。

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2009年10月31日土曜日

情報は爆発だ!

日々、情報は増え続けています。一昔前は数バイト、数キロバイト。このリソースを最大限に活かすべく、システムエンジニアは苦労を重ねてきました。

しかし、今やメガバイト、ギガバイトを経て、テラバイトを超える勢い。記録媒体も増大化し、CD[Compact Disc]からDVD[Digital Versatile Disc]を経て、Blu-ray Disc へ。更に、次世代構想も既に固まっており、目が回る程の大容量化が見込まれます。回線インフラも広帯域化を成し、情報量は留まるところを知りません。

これに伴い、情報漏洩対策は投資増大の傾向を辿っています。広帯域ネットワークや携帯端末、コンパクトで低価格・大容量化するメモリカード(USBメモリやSDカード等)等を媒介する大量のデータには個人情報を始め、企業の機密情報も含まれます。

留意すべきは、持ち出さない対策を講じるのではなく、その判断にあります。権限を設けてデータへアクセス自体できなくする、アクセスはできるけれどスクリーンショット含めコピーできず閲覧のみを許可する、全てを許可するがアクセス・操作ログを採取できるようにしておく(データ保管側、操作端末側、または両方)等、セキュリティポリシーは多様です。もちろん、デジタルデータのみならず、紙媒体も重要な対象情報ですよね。

セキュリティ対策は手間暇掛ければ掛けるほど、強靱な対策が施されます。一方では投資費用の増加が見込まれ、更に管理面や利便性に於いては大きな負担を強いられます。これら3点は相互にトレードオフの関係にあり、バランスの取り方が企業にとってのセキュリティポリシーであり、社内(部門内、場合によっては社外)への宣言となります。

余談ですが、テレビもデジタル化で膨大な情報を扱います。1秒間の映像にはパラパラ漫画の要領で静止画が約30枚収まっています。フルハイビジョンでは1920×1080の高解像度の画像データが転送されます。そこには付加情報も含まれます。

まさに情報は爆発です。岡本太郎先生も言っていたかどうか定かでは有りませんが。今回は脱線して、セキュリティ対策と情報に関わるお話を書いてみました。詳細を聞きたい方はお問い合わせを。それでは次回お会いしましょう。

2009年10月24日土曜日

リスクを全て洗い出せ!

少々、寄り道をしましたが、今回は「IT導入フェーズ」に入りたいと思います。
先ずはお浚いですが、前回までは経営戦略の策定からIT戦略策定フェーズ、各ベンダーからの提案を受け、選定・契約、IT導入計画策定までの流れに触れてきました。

いよいよ、IT導入に入ります。このフェーズで重要なのは、開発やテスト、移行等の作業を期間とコストを守りながら、品質を維持しつつ、マネージメントすることが必要とされます。そのためには、IT導入実行計画を策定しなければなりません。そこには、プロジェクト全体の整合性を考慮して、「誰が、いつまでに、何をするか」を明確にします。

ここでは多くの利害関係者が絡んできます。「木を見て森を見ず」では、本来の目的である「経営戦略との整合」が守られず、プロジェクトは失敗に終わります。プロジェクトリーダーは臆せぬリーダーシップと的確な判断が求められます。(時にはクールに、厳しく、冷静に!)

しかし、プロジェクトにはリスクが付きもの。リスクを最低限に抑えるためには、事前に想定し得るリスクを洗い出さなければなりません。未だ見ぬものであり、悲観的ではありますが、「あんなことや、こんなこと」をひとつひとつ挙げてゆきます。勿論、その対策も。要件の定義内容が途中で変更したり、仮に見込んでいた帳票が増えたり、クリティカル・パス(プロジェクトに於いて重要なタスクを繋ぐ一連の流れ)を考慮していなかったりと、いろんなケースが想定できますよね。

これらを踏まえて、IT導入実行計画書を仕上げてゆきます。その後は新業務プロセスを決定して行くのですが、全体最適の観点から、「経営者を通じてステイクホルダー(利害関係者:[stake holder])に理解を求める」ことも大切。そして、総合テストの結果、本番開始を判断し、ステアリングコミッティ(プロジェクトの運営委員会)及び経営者から移行の承認を得ます。

このフェーズで大切なことは、実施しなければならないことに対する成果物を明確にすること、社内外の責任・役割分担の明確化、想定されるリスクの洗い出しと、その対策の明確化です。言った言わない、や想定しなかった、では皆が不幸になります。何事も「抽象的ではなく、具体的・定量的に事前に決め、明文化しておく」ことは大切ですね。

今回はかなり表面的にしか書けませんでしたが、次回はIT導入後に於ける「ITサービス活用フェーズ」に触れたいと思います。

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2009年10月20日火曜日

常識をぶち破れ!

さて、唐突ですが、皆さんは固定概念を持っていますか?日常の業務や自分のスタイルは習慣的に取り込まれます。これらを変えることは、大変な労力を要します。同時に踏み出す勇気も要りますよね。「今までこうだから」、「皆がやってるから」、「変える必要が無いから」では、それらが足枷となって進展が見込めません。偉そうで恐縮ですが、時には「変化や違い」を楽しむことも必要なんだと思います。

最近、めっきり秋らしくなりました。あの突き刺す日差しもどこにやら。日傘を差す女性の姿も見当たりません。ん?そう言えば、男性が日傘を差す姿は見掛けませんね。私も使ったことがありません。別に使うことはいけないことではないのですが。。。男性諸君、スカートを履こう!ではありませんが。。。

ちょっと補足します。「行動を起こす」ことが目的ではなく、また、重要な要素ではありません。ベストセラーになった「チーズはどこへ消えた?」の所感でもありますが、「行動を起こす」事が大切なのではなく、「行動を起こすべきか、そうではないのか」を考えることが大切なんだと思います。固定概念を捨てることを勧める気は無いですよ。

人と違うことをやる、誰も手にしていないモノを得る、などは目的ではなく、手段。差別化や優位性を得るための新たなビジネスモデルも綿密な調査・分析があってこそ生まれるのでしょうが、基本は「踏み込む」こと。二番煎じもいいですが、柔らか頭で常識をぶち破るには、ビールでも飲んで、ブレーンストーミングなんて、なかなかいいかも知れません。

「時間が」、「お金が」、「体が」と、制約を私自身も作っていましたが、「下手の横好き」で、最近は趣味の幅を広げるために、なるべく多方面に首を突っ込む様にしています。一端、踏み込むと、もうコッチのもの。世界は広がります!見えないものが見えた、今まで思いもつかなかった考え方に出会えた、大袈裟に言うと「オッサンになってもまだ成長できている!(寒い!)」が嬉しいです。

最近でも某食品製造業の部長さんとお話をしている際にも色々と教えられました。ありがたいです。日々勉強ですね。今まで接した、経験してきた、私の考える食品業界はこうだ、は、あくまでも固定概念。経験値かも知れませんが、足枷にもなっています。

ITコーディネータのプロセスガイドラインに基づいたIT利活用の話から逸れてきてますが、次回は軌道修正しますよ。それでは、今日はここまで。

2009年10月14日水曜日

会社の「色」に染まるな?

本日は企業の「コーポレート・アイデンティティ(CI:Corporate Identity)」に触れてみようかと思います。
CIは企業の持つ特徴や風土、理念を体系的に整理し、簡潔に表現したもので世間に広く認知させる重要な要素を持っています。CIの基本要素としては、以下の3つが挙げられます。

 1)登記社名や商標としてのブランド名
 2)シンボルマークやデザイン化した文字列のロゴ
 3)企業のキャッチコピーとしてのコーポレートコピー

日本放送協会と言うよりもブランド名としての「NHK」の方が、ピンときますよね。International Business Machines Corporation(IBM)も同様です。CIは企業にとって大切な役割を果たしているんですね。では、CIの一環として活用される「色」、つまり「コーポレートカラー(またはシンボルカラー)」はどうでしょう?

色にもイロイロありますが、各企業では規格化されたものが一般的に採用されています。Pantone社のパントン・マッチング・システム(色見本)は業界ではスタンダードとなっているようで、単純に「赤」や「青」など、一概に言い表すことは困難ですね。(Pantoneと言えば、少し前にソフトバンクが多彩なカラーバリエーションを持つ携帯電話を発売。) 因みに、色以外でも、ロゴの縦横比率や社名との併記方法等も仕様化する企業がほとんどです。

さて、食品業界と言えば「赤」をイメージしてしまうことから、私なりにちょっと調べてみました。食品製造業の上場上位50社を調べたところ、赤系のみ、もしくは赤系を基軸とするCIを使った企業は、実に38社(76%)ありました!色々と調べてみると、小売や輸送業界も「赤」が上位を占め、化学業界では「緑」とのこと。東証一部上場企業でのサンプリングでは、「赤」を採用する企業が46% とのことで一番人気のようです。なお、青33%、緑8%、黄5% と続きます。 バラ色の会社人生を!




2009年10月7日水曜日

経営も台風も進路が大事

非常に勢力の強い台風18号が上陸してきました!交通の混乱が予想されます。皆様のお仕事でも、入出荷や営業活動、システム安定稼動面での対応が心配されます。大事に至りませんように。

さて、台風の話題からスタートしましたが、経営の目指すべき方向も台風の進路と同様に昨今、予測は大変困難となってきています。内部環境に加え、外部環境を勘案し、将来の姿を描いたとしても事業シナリオは大きく変わってしまうかもしれません。それは以下の要素が根底にあるとされているからです。
 
● 社会や技術、顧客ニーズに加速がつき、業界全体としての予測が困難
● 現在の事業環境を単なる延長線とする単純なトレンド分析で図れない
● 潜在的で間接的な要素が事業全体に影響を及ぼす傾向にある
 

事業シナリオを作成する際、「楽観説」と「悲観説」の2つを設けます。「その事業シナリオが大成功を遂げた姿(楽観説)」と「大失敗に終わった姿(悲観説)」のシミュレーションを行い、この上限・下限を元に事業判断を行います。
とは言え、台風の進路と同じで、必ずしもその範囲で推移する訳ではないので、経営者も気象予報士(2009年9月9日の当ブログネタを参照)と変わらないのかもしれません。(私は経営者の器では全くありませんが!)

経営者は新鮮で精度の高い情報を元に日々の経営判断を行うので、やはり「経営の見える化」や「業務プロセスの見せる化」は大切ですね。

2009年10月4日日曜日

失敗しない最適なIT導入とは?

昨日は子供の運動会。朝から小雨で「中止かな?」と、思っていましたが雨も上がり、開催時はカンカン照りで日焼けをする始末。1O月とはとても思えない気候にビックリです。

さて、前回は「IT戦略企画書」をまとめ、経営者の合意・承認を得る。そして、この「IT戦略企画書」に基づいた短期計画を抽出し、「IT戦略実行計画書」としてまとめるところまでを書きました。

今回は「IT資源調達フェーズ(どこから何をどんな風に導入する?)」に続きます。ここではコストや納期、その他諸条件を詰める必要があります。

まず最初に情報収集から入ります。最新のIT動向やベストプラクティス、導入方法論などの外部情報に関しては、ベンダーに対する情報提供依頼(RFI:[Request For Information])を通じて入手し、あわせて、「IT戦略実行計画書」では得られていない具体的な内部情報(内部ベストプラクティスや業務フロー、入出力帳票等)の収集を行います。ここでは、情報の鮮度や精度、信頼性を考慮しなければなりません。

次に、調達要件を明確にします。ベンダーが理解できる形で、現状(As Is)とあるべき姿(To Be)の業務フローや情報モデルを整理します。全体最適の観点からエンタープライズアーキテクチャ(EA:[Enterprise Architecture])の思想・方法論を用いたり、DMM:[Diamond Mandala Matrix]による分析からDFD:[Data Flow Diagram]による構造化を用いたりします。(ややこしいので、この辺は別途、詳細を書くことにします。)

そして、評価基準を明確にした上で、ベンダーリストの作成及び、提案依頼書(RFP:[Request For Proposal])の作成、発行を行います。ベンダーの選定は技術力や実績に加え、財務安定性なども重要な評価点となります。ベンダーの数は4~5社程度が妥当と言われています。多すぎれば説明や対応に要する時間が増え、評価も煩雑になります。少ないと比較が難しく、偏ってしまいます。

各ベンダーからの提案を受け、場合によってはデモンストレーションや事例を要求し、選定してゆきます。契約に関しては、変更ルールや瑕疵担保条件、使用権・著作権等の権利、体制、検収条件、教育方針等、明確にしておかないと、お互いが不幸になります。

ざっくりと早足ではありましたが、今回はここまで。要するにベンダーに対しては、自由で「色」のある提案を受けることが大切なので、ガチガチに提案依頼内容を狭めない、とは言え、要求は明確にすることも大切です。 また、提案依頼書(RFP)に対する質問回答も質問者のみならず、全参加者に対し回答集の発行を行って、平準化と正当化を図ることを心掛ける必要があります。それでは次回に!


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2009年9月26日土曜日

日々精進、日々前進

今日は、私事で恐縮ですが、日記風で。
7名と少数ではありましたが、久しぶりにITコーディネータ・ケース研修の仲間と再開。継続学習として、久々に川端先生(一般社団法人 ITC-Labo.代表理事 http://www.itc-labo.com)の講義を受けました。事例を交えての講義(過去を含めてのご活躍やビジネスモデルに関しての内容)は、大変刺激になりました。いつかきっと、我が国の経済社会の発展に寄与できるよう、私も頑張らなくてはなりません。と、言うことで、ITコーディネータは「実績・評価のオープン化」に加え、「継続学習」が義務化されています。いい加減なことが言えません、書けません。日々精進です。
 
その後はお決まりのように、いつもの中華料理屋さんへ。ワインを結構空けたかも(中華でワイン?)。建設的な話に花開きました。全く業種・職種が異なる仲間と共に、ディープな話まで。某財団に属す、永遠の天使、加東さんも参加(人間的な視点が刺激になります)。
表面的な学習に留まらず、知識を幅広く収集し、皆さんに発信してゆく所存です。今後もお付き合いを!

2009年9月23日水曜日

知識もアナログからデジタルへ

シルバーウィークも今日で終わり。ゆったり、まったりと体と頭を休めることができました。さて、今日は本論の経営戦略やIT戦略から離れて「ナレッジマネジメント」についてお話ししましょう。

企業活動の中からは日々、様々な情報が生まれます。もちろん、全てが有益なものとは限りませんが、経営者の経営判断材料であることをはじめ、営業活動の効率化や差別化、顧客サービスの向上、市場が求める商品・サービスの開発など、貴重な「ネタ」として扱われます。 しかし、これらの情報は身近に存在するにも係わらず、意識的に業務での有効性 や機能性を考えていかないと大きな機会損失に繋がると言っても過言ではありません。

情報を活用すると言うことは、競合優位性を確保し、新たなビジネス機会を創造する活動と言えます。 情報を活用するには、言うまでもなく蓄積が必要で、蓄積した情報は共有化が条件となります。 情報の蓄積・共有・活用にはネットワークインフラをはじめ、グループウェアやERPパッケージの導入といった情報基盤の整備が挙げられます。 しかしながら、そういった情報環境が整ったとしても、必ずしも成功には導かれません。 それでは、何が必要とされるのでしょうか?ポイントは3つあります。

1つ目は即時性が求められ、情報の発生時点での蓄積(入力)と共有化がなされ、活用できなければなりません。対象となる情報はERP的に業務連携が図られる基幹系業務情報や現場の「生の声」などの非基幹系業務情報です。 基幹系では、受注・出荷・売上・在庫・生産・購買・原価・会計など、密接に連携がなされ、線引きはできず、切り離すこともできません。そのため、どこかで実績や計画入力が滞ると全体に影響します。 また、時間を置くと情報は陳腐化し、予実の乖離から効率的な実務は図れません。非基幹系に於いても同様に、活用に値しなくなります。

2つ目は、暗黙知の形式知化です。「感じたこと」や「思ったこと」、「気付いたこと」などは「勘や経験」としてアタマに残ります。そのため、アナログな情報をデジタル化し、蓄積する必要があります。 もちろん、これは容易ではありません。職人気質で「勘と経験と根性だ!」では、企業に属す必要性は感じられません。仲間が使える情報に加工しなければなりません。もちろん、「意訳」してもいけません。生に近く、私感を挟まないことが条件となります。

3つ目は企業活動が個人戦ではなく、団体戦であることを全社員が認識することです。Win-Winの精神を持って積極的に情報の開示を図る必要があります。同時にそこから得られる個人成果が全社的な成果であることを全会一致で認知する必要があります。このことから、情報の開示数やその利用度、有効性をKPI化し、人事制度に盛り込む企業も少なくありません。 場所や時間に拘束されず、必要な時に必要とする人が迅速に活きた情報を収集し、活用する。これこそが企業力ではないでしょうか?

このブログでは、私自身の思いの整理と知識のブラッシュアップを図ると同時に、皆さんのお役に立てる情報の提供を通して、一緒に課題の顕在化や解決方法の創作ができればと思います。そのために、積極的な情報開示に努めますよぉ!

2009年9月17日木曜日

ASPとSaaSの違い?クラウド?

さて、前回の話で「SaaS(Software as a Service):サースまたはサーズと呼ぶ」が出てきました。今更ですが、「SaaS」って何でしょう?従来聞かれた「ASP(Application Service Provider)」と比べて、何が違うんでしょう?今回は、これをテーマにしましょう。

まず、「ASP」は1998年~99年登場しました。「特定及び不特定ユーザーが必要とするシステム機能を、ネットワークを通じて提供するサービス、あるいは、そうしたサービスを提供するビジネスモデル(ASP白書2005)」と定義されています。

利用者は、必要な機能をダウンロードし、自身のパソコンにインストールする形態もありますが、主として、データセンターに配備されたアプリケーションパッケージを利用者がインターネット網を介して使用する形態となります。利用者はソフトウェアを自社資産として所有するのではなく、定額固定料金を支払い、使用権を得ます。また、契約企業は利用者の増減にも柔軟に対応できるため、導入が容易です。

しかしながら、想定していた程の普及には至りませんでした。原因としては、何点かの課題が存在していたためです。ブロードバンド環境が普及途上であったことやアプリケーション自体がWeb環境に最適化されたものではなかったこと、貧弱なシステム外部連携(API)などがその要因です。セキュリティ面でも不安が払拭しきれなかったとも言えます。

そこで、数年のブランクを経て、「ASP」は、技術的な向上と先進的な考えを携えて、「SaaS」として生まれ変わるに至りました。では、その「技術的な向上と先進的な考え」って、何でしょうか?それは主に、以下を有することが挙げられます。
 
1)仮想化技術によりシステム資源を動的に割り振るマルチテナント化
2)柔軟なカスタマイズ性により業務への対応範囲が拡大しコストを抑制
3)親しみ易いユーザインタフェースにて操作教育に要する時間が短縮
4)ウェブサービスという標準技術による有機的なシステム連携の実現
 
とは言え、デメリットもあります。例えば、カスタマイズ性は高いと言えども、大幅な対応は困難です。また、排他制御に弱く、勘定系には不向きです。そのため、基幹業務系、特に販売管理業務(受注からの在庫引当や出荷連携など)や生産管理業務(所要量計算や工程・進捗管理など)は考えねばなりません。また、環境やデータ移行の面から、易々とサービスベンダーを乗り換えることは困難となり、企業の規模的な拡大には柔軟に対応できるものの、生モノである経営戦略やIT戦略がサービスに合致しなくなった際には厄介です。末永いお付き合いが求められます。

なお、「クラウドコンピューティング」とは、利用者側の目線で使われる言葉であり、「インターネットを介して利用者がサービスの提供を受けるインフラ」を広義に指すようです。因みに「クラウド」とは「雲」のことですよね。これは、インターネットを使った全体システムイメージを図式化する際にモクモクの挿絵を使うことが多く、そのイメージで「クラウドコンピューティング」と名付けられたようです。では!

2009年9月14日月曜日

IT化は経営戦略との整合を!

まだ始まったばかりですが、いやぁ、継続すると言うのは大変ですね。。。まぁ、気軽に行きますよ!

さて、前回は、目標とするビジネスプロセスモデル(あるべき業務プロセスと、これを遂行するIT環境)の策定までをまとめました。さぁ、これから、具体的にIT戦略の策定に入りますよ。これまた、早足にですが。。。

その前に、先ずは、「目標とする業務プロセス」の策定を行います。既存業務の見直しや、組織や役割の変更などの検討です。その後、ベストプラクティスなどを参考に「目標とするIT環境」を策定します。大切な点としては、「人間系とIT系の振り分けを考える」必要があります。

そして、その次に、「目標とする業務プロセスとIT環境」に対する現状のギャップを分析します。その結果を踏まえ、経営戦略の優先度や難易度、投入可能な経営資源、投資対効果などを評価して、達成目標や新業務プロセス、ITサービス範囲・レベル、推進体制、投資額、評価項目などを決定します。同時に、導入方式(パッケージソフトへのフィッティング型導入や個別のスクラッチ開発など)や運用方式(自社運用やアウトソーシング、SaaS活用など)も決めます。

これらを「IT戦略企画書」としてまとめ、経営者に合意・承認を貰います。その後は、このIT戦略企画書に基づき、短期計画を抽出し、IT調達フェーズに引き継げるよう、現行業務や現行システムの移行方法を含め、具体化します。

「IT化の実現機能や操作性、レスポンス性能、システム稼働時間、システム障害時保証などのITサービス方針の決定」と、「経営戦略目標の達成度評価を行う項目、補足方法、評価タイミングの抽出、評価方針の決定」も非常に大切です。これも、経営戦略策定フェーズ同様に、「重要業績評価指標(KPI:[Key Performance Indicator])」と「経営目標達成指標(KGI:[Key Goal Indicator])」を明確にします。

経営戦略に整合したIT戦略を立てた筈なのに「うまくいったか、どうだか分からない」では困ります。何のために、何を、いつ、どのように、誰が導入し、どうなるべきかは事前に決めなければ、また、進捗の指標を持たなければ、次のフェーズである「システム導入」に向けて提案依頼(提案依頼書(RFP:[Request For Proposal])の発行)ができませんよね。

最後に、IT環境の調達と導入方法を決定し、ステアリングコミッティ(プロジェクトの運営委員会)及び経営者から合意・承認を得ます。
このような段取りを経て、IT環境の調達を計画します。適切な費用と要求した品質で所定期間内にベンダーからシステムを調達できるよう、詰めなければならないことは山盛り。この先は次回以降で。

2009年9月12日土曜日

さぁ、IT戦略を策定しますよ!

ここまで、経営戦略企画書の完成までをまとめてきました。一旦、整理をしてみましょう。

企業理念や経営者の思いに加えて、外部環境(同業者や市場動向など)と内部環境(企業文化や独自技術等の経営資源)」から「企業のあるべき姿」を導く。そして、その実現に向けて検討すべき問題点・経営課題と、その決定的成功要因(CSF:[Critical Success Factors])の「案」をまとめる。

その後、経営リスク(地震や災害、不祥事、情報漏洩および、経営判断に起因する損失等)を考慮して、経営ビジョンを決定。同時に、そのための「ビジネスモデル(課題や業務の流れを構造的に図式化)」を作成し、課題の重要度・優先度と、これに必要な決定的成功要因(CSF)の「最終版」を決める。

これを経営戦略企画書としてまとめ、重要業績評価指標(KPI:[Key Performance Indicator])と経営目標達成指標(KGI:[Key Goal Indicator])を明確にし、各組織単位で実現するための「各組織戦略実行計画書」に基づき展開。大切なのは、これらをPDCA(計画・実行・統制・改善)のサイクルで回す。ふぅ。。。

では次に、経営戦略策定フェーズで導いた「IT化の対象(ITで実現すべきこと、した方がいいこと)」について、IT戦略の策定を行います。

経営戦略策定と同様に「内部環境」分析と「外部環境」分析を行います。経営戦略策定フェーズでは「外部環境分析」から始めましたが、このフェーズでは、「内部環境分析」からはじめます。
「内部環境分析」では、現行の業務課題やシステム稼動環境、社内規定・日常業務に於ける制約条件を分析します。
「外部環境分析」では、先行する同業他社のシステム導入事例の調査・分析・評価をしたり、ITベンダーから技術情報を収集、法規制や業界ルール等の制約条件の確認を行い、分析します。

これらの分析を経て、目標とするビジネスプロセスモデル(あるべき業務プロセスとこれを遂行するIT環境)を策定します。ふぅ。。。

今日はここまでです。次回は、IT戦略策定に入りますよ。

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2009年9月9日水曜日

経営者は気象予報士?

これまで、ITコーディネータのプロセスガイドラインに基づいた経営戦略策定までをまとめてきました。かなり飛ばして書いてきましたが、難しくなってしまいスイマセン。ここでいったんブレークです。

経営者は日々、膨大な情報を元に経営の舵取りを行っています。一歩間違えれば企業は路頭に迷います。過去に些細な判断一つで解散に追い込まれた企業もありますし。とは言え、激動の時代に於いて、先を読むことが如何に難しいかは言うまでもありません。

今回はカリスマ主導者でも、先を読むことがでない事例をご紹介します。正確に未来予測を行うのは非常に困難であり、経営者は予言者ではありません。その時々での時流を読み、経営判断してゆくのですから大変です。

●-> この「電話」なるものは、コミュニケーションの手段としてまじめに検討するには、多くの欠点がありすぎる。我々にとって、この装置は本質的に無価値である。(ウエスタン・ユニオン:社内メモ[1876年])

●-> 空気より重い空飛ぶ機械は不可能である。(王立科学協会会長:ロード・ケルビン[1895年])

●-> 飛行機は面白い玩具だが、軍事的には何ら価値が無い。(フランス陸軍大学校戦略担当教官:フェルディナンド・フォッシュ元帥)

●-> 私が思うに、コンピュータ市場は世界的に見て、多分5台くらいだろう。(IBM会長:トーマス・ワトソン[1943年])

●-> コンピュータの重さは、いずれ僅か1.5トンくらいになるかもしれない。(ポピュラー・メカニックス誌[1949年])

●-> 我々は彼らの音楽を好きになれない。ギターミュージックは消滅しつつある。(デッカレコードがビートルズを否定して[1962年])

●-> 誰もが自分の家にコンピュータを持ちたがるような理由は存在しまい。(デジタル・エクイップメント会長:ケン・オルセン[1977年])

●-> どんな人でも640キロバイト(のRAM)があれば十分なはずだ。(マイクロソフト会長:ビル・ゲイツ[1981年])


これらは技術が係わる「発言集」です。技術改革がここまで飛躍的に向上するとは思えなかったので無理はありませんが。。。そう言えば本日、ザ・ビートルズのオリジナルアルバム全14作品がリマスターされ、長蛇の列ができた模様。当のメンバーもレコーディング時には想定していなかったでしょう。先は読めません。では次回お会いしましょう!


2009年9月7日月曜日

経営戦略企画書の完成!

本日、真っ先に飛び込んできたのが、マリナーズのイチロー外野手が大リーグ通算2000安打を達成したニュース。史上259人目で、日本選手としては初の快挙。おまけに、大リーグ初となる9年連続200安打まで、あと5本!どの分野に於いても、一番になることはスゴイこと。見習わないといけませんね。継続は力なり。ブログ2000話に向けて。。。

さて、今回はこれまでの成果を報告書としてまとめる、経営戦略企画書の作成です。この中身はと言うと、

1)経営環境の現状分析
2)経営のあるべき姿
3)戦略目標と戦略マップ
4)KGI、KPIとその目標値
5)経営改革のための実行計画

が、含まれている必要があります。専門用語を避け、経営者や役員が理解しやすい言葉でまとめます。そして、これを「誰がいつまでに何を行うか?」を考えなければいけません。もちろん実行部門は横断的になります。そのため、必要とされるものが、「各組織戦略実行計画書」です。各部門が何を実行するかをここで決定します。各組織でブレークダウンして実行計画をまとめるんです。実行計画の中には人間系で実行されるテーマもあれば、IT系で実行されるテーマもあります。なので、その中で選択したプロセスの中からIT化の対象が何なのかを決定します。(ITで実現すべきこと、した方がいいこと、しない方がいいこと、すべきでないこと、と区別されますよね。)

ここで言う経営戦略の策定とは、「経営者に代わって、経営の舵取りをすること」ではありません。「経営のあるべき姿を第三者が決定すること」でもありません。「企業理念・使命(経営者の思い)」が根底にあるんですね。合意形成を取ることが大切です。そして、実行結果を検証・評価し、次に反映させる必要があります。Going Concern(継続企業)を目指して!
続きは、IT戦略策定フェーズで。


2009年9月5日土曜日

目標は具体的に、定量的に!

昨日はお客様感謝会が開催され、その後、仲間と打ち上げに。
いやぁ、チョッと飲み過ぎました。。。カラオケでも盛り上がりましたし。とても楽しかったです。はい。

さて、本題に入ることにしましょう。何とも重い内容が続きましたが、できるだけ簡単に次のフェーズをまとめてみますね。

前回は魅力的で現実味のある経営のあるべき姿を決定するまでの流れを書きました。次に行うことは「どうやって実現するか?」です。そのためには、あるべき姿に達するための中間目標(戦略目標)を複数設定します。あるべき姿が満たされるために必要とする条件を決めるんですね。「BMIが22となりメタボを克服する」ためには、「日々の食事内容の改善によるカロリー制限」や「継続的・効率的な脂肪の燃焼」、「近所の奥様達から黄色い歓声を得る」、「体重・体脂肪率・骨格筋率・BMIの測定及び記録」、「第三者への測定報告」、「メタボに関する理解と継続学習の実施」等の必要条件を挙げるんです。質より量で。

そして、この戦略目標間の影響関係を明確にし、成功のための組み合わせを決め、優先順位付けを行います。戦略目標は縦と横の関係を考え、各々の関係性を明確に捉えるためにバランススコアカード(BSC:[Balanced Score Card])の4つの視点(財務の視点、顧客の視点、業務プロセスの視点、学習と成長の視点)に落とし込み、影響図を戦略マップとしてまとめます。「メタボに関する理解と継続学習の実施」により「継続的・効率的な脂肪の燃焼」が図れ、結果として「近所の奥様達から黄色い歓声を得る」ことができて、と繋がりを線引きします。

漠然と目標を定めてもゴールに至りません。各戦略目標には状況に応じたコントロールが必要です。そのためにはモニタリングできなければなりません。従って、各戦略目標には、重要業績評価指標(KPI:[Key Performance Indicator])を定め、どの位のスパンでモニタリングするかを決定します。指標は「定量的な指標」である必要があります。また、実施計画に於いてはスリーフェーズアプローチを用いるといいでしょう。即時、短期、中期に実施時期を計画することができますよ。必ずしも3つに拘る必要はありませんので。

 -第1フェーズ:すぐできること、即効性のあるもの
 -第2フェーズ:頑張ればできること、比較的早く結果のでるもの
 -第3フェーズ:じっくりやること、中期的なテーマ

今回はここまで!次回は、経営戦略企画書のまとめに関して考えてゆきましょう。
 

2009年9月3日木曜日

先ずは素の情報を集めましょう

今回は、前回の内容をもう少しブレークダウンしてみましょう。ステークホルダーが期待する企業のあるべき姿(To Be)と現状(As Is)とのギャップを埋める施策として経営戦略の策定があります。まず、今回は経営戦略フェーズの序盤をご紹介します。

「企業のあるべき姿と経営課題」を導くためには、「企業理念・使命(経営者の思い)」に加えて、「外部環境情報(顧客と市場特性他)」や「内部環境情報(経営の成熟度)」から、経営環境分析を行います。主としてSWOT分析やファイブフォース分析が用いられます。その結果、「企業のあるべき姿と経営課題」がまとまります。その後、「経営戦略策定と展開」を図り、「経営戦略企画書」と「各組織戦略実行計画書(IT領域戦略課題)」が成果物として作成されます。何だかややこしいですね。。。

先ずは何から始めましょう?例えば、KJ法(フィールドワークやブレインストーミングから得た様々な情報をカードに記述し、これをグループ毎にまとめ、分類する方法)を使い、自社を取り巻く業界の特性分析:外部分析(世の中・マクロ環境の動向、業界・市場の動向、顧客の動向、競合他社の動向、供給者の動向等)や現状の事業ドメイン:内部環境(経営成熟度の評価)を蓄積します。そして、SWOT分析にて「S:Strength(企業の持つ強み)」、「W:Weakness(企業の持つ弱み)」、「O:Opportunity(事業機会)」、「T:Threat(事業脅威)」に分類します(S/Wは企業の内部環境、O/Tは企業の外部環境)。または、ファイブフォース分析(「供給企業の交渉力」、「買い手の交渉力」、「競争企業間の敵対関係」という3つの内的要因と、「新規参入業者の脅威」、「代替品の脅威」の2つの外的要因、計5つの要因から業界全体を測る)にて、魅力的で現実味のある経営のあるべき姿を決定します。同時に実現に向けてのリスク分析も怠ってはいけません。

今日はここまでです。何だかやっぱりややこしいですね。大切なことは先入観を持たず、ピュアに情報を収集し、分析する。その手法は多々ありますが、SWOT分析やファイブフォース分析と言った馴染みやすい手法で客観的に現状をまとめ、魅力的で現実味のある経営のあるべき姿を決定するんですね。では、続きは次回に!

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2009年9月1日火曜日

気合と根性では頑張れません

朝夕は随分と涼しくなりましたが、日中はまだまだ暑い日が続きます。汗臭くてたまりませんが、気合と根性で乗り越えましょう!少々、硬い内容で長文ですが、お付き合いを。

さて、経営のあるべき姿を目指すためには、明確な経営目標達成指標(KGI:[Key Goal Indicator])を定めなければなりません。この目標がぶれていると会社はとんでもない方向へ進みます。
経営者は、従業員やその家族、株主、得意先、取引先、地域社会等の利害関係者(ステイクホルダー:[Stake holder])を常に意識し、舵取り役を担っています。そのためには、この経営目標実現に不可欠な決定的成功要因(CSF:[Critical Success Factors])を見出す必要があるんですね。

「メタボを克服する(KGI)ために大切なことは何(CSF)か?」を明確にするのは大切です。しかし、メタボの根本原因やすべき事が明確になったとしても健康な体は手に入りません。決定的成功要因(CSF)を導くだけでも大変な作業なのですが、結果を示さなければ意味がありません。また、その進捗を常に認識していなければなりません。そこで、決定的成功要因(CSF)を基にして重要業績評価指標(KPI:[Key Performance Indicator])を定める必要があります。大切なのは「定性的な指標」ではなく、「定量的な指標」を定めなければなりません。

「BMIが22となりメタボを克服する(KGI)ためには、日々の食事内容の改善によるカロリー制限に加え、継続的・効率的な脂肪の燃焼(CFS)が必要であり、明日からの1年間に於いて1日の摂取カロリーを1800kcal以内(KPI)とし、同時に有酸素運動である分速80mでのウォーキングを60分間毎日継続する(KPI)」と決意しなければ目標達成はできません。

「デブはいやだ。気合と根性で頑張るぞ!いつかきっと痩せてみせる!」「テレビを見ながら楽しく痩せるマシンを買うぞ!」と、漠然と目標を定めるだけでは厳しいでしょう?IT戦略に於いても同じです。経営戦略を策定し、これに於けるIT戦略領域課題を明確化する。そしてIT戦略を策定、導入計画、実行、活用、評価、改善を繰り返す。進捗を図ることも忘れてはいけません。

今日はここまでです。まだまだ先は長いので、これからゆっくりお伝えしてゆきます。美味しいビールを飲むために。

2009年8月31日月曜日

さぁ出発です!創刊です!

「IT経営の歩き方」と題し、経営のあるべき姿を目指す上でのITの係わり方について、私自身が感じたことや体験したこと、勉強したことなどを不定期ではありますが、ここに書き綴ってゆきたいと思います。どれだけ続くか分かりませんが、お付き合い下さいな。また、立場上、踏み込んだ内容や実名の記述ができないこともありますが、その点はご容赦下さい。

さて、企業の戦略的IT投資を推進する国家プロジェクトの一環として誕生した日本で唯一の資格認定制度として、NPO法人ITコーディネータ協会がその育成・認定・普及・啓蒙活動を行っております。
「IT経営の歩き方」では、企業にとって戦略的IT投資が重要な経営戦略として位置づけられる中、経営とITの両面に精通したITコーディネータとして、ITユーザとITベンダの双方の立場を理解し、経営者の立場から「真に経営に役立つIT投資」をご支援すべく、間接的ではありますがブログとして情報発信を致します。

何だか偉そうで恐縮ですが、ちっとも偉くはありません。さぁ、はじめますよぉ。美味しいビールを飲むために。