2010年9月25日土曜日

製品ライフサイクルを掴め!

すっかり秋らしくなり、気持ちのいい日が続きます。しかし、この快適な天候はいつまでも続きません。1年を通しての平均気温は毎年同じとのこと。と言うことは、猛暑だった今年の平均を採るなら、今冬は極寒になるようです。おー怖っ。

さて、現在、私はPLM[Product Lifecycle Management:製品ライフサイクル管理]に関わる提案依頼を受けており、社内での方針固めに右往左往しております。大変です。。。

この「PLM」、IT目線で言えば「設計・開発情報を一元化し、製造部門・営業部門・保守部門などが横断的に情報共有できるシステム」を指します。この領域でのパッケージソフトも存在しており、どちらかと言えば「設計情報管理」に絞られているようです。

ところが、このPLMが関与する領域は、市場戦略・価格戦略・製品戦略等、幅広く経営戦略と整合しています。

顧客が求める製品をどのように開発するか、いつ何処の市場に投入する、または引き揚げるかを勘案し、企画・開発から設計、製造・生産、出荷後のサポートやメンテナンスなどの全般を管理しないといけません。

そこに必要な情報には、図面や部品表(レシピ・配合表)から販売・出荷・在庫情報、流通情報、品質・検査記録、他社情報、季節変動情報など多岐に渡ります。

よく目にする市場に投入した商品(定番品)が市場に根付くには大変な努力に支えられています。反面、出ては消え、短命に終わる商品は圧倒的です。製造元でも想像し得なかった、ひょんなことからヒットするケースも多々ありますし、一概に市場に受け入れられる商品には一定の法則があるとも思えません。

しかし、これら商品の市場への投入や撤退時期を見誤ると企業にとっての損失は計り知れません。PLMは各企業のコアコンピタンス。容易に真似できず、門外不出ですね。

2010年9月18日土曜日

世界を元気にするBOPビジネス

先日、社内のITC-SIGにて話題に出ました「BOP:Bottom of the Pyramid」についてチョッと解説してみます。

このBOPとは、「所得階層を構成する経済ピラミッドの底辺層」を意味します。
世界で約40億人以上とも言われている「1日の所得が5ドル以下で生活する貧困層」を指しますが、この層は「潜在的な成長市場」として注目されつつあります。何と言っても「世界総人口の70%以上の大きな市場」なのです。とは言え、貧困層を相手にビジネスは成立するのでしょうか?

貧困層を支援しながら、購買力を持った消費者に変えるこの「BOPビジネス戦略」は、米ミシガン大学ビジネススクールのC・K・プラハラード教授が中心となって提唱しました。

経済産業省も、本年7月に「BOPビジネスへの政策的支援の方向性と具体的取組」の中で「新たな外需獲得の必要性と、そのための新たな商品・サービス開発の必要性」を述べています。少子高齢化が回避できない中、内需は期待できません。グローバル展開を視野に入れる必要がありますが、モノや情報に溢れる先進国と同時に、発展途上国の貧困層にも目を向けねばなりません。

具体的な実践としては、上記の「BOPビジネスへの政策的支援の方向性と具体的取組」から以下に一部引用しました。

●ユニリーバ
 - 洗剤、シャンプー等を少量の小袋にして安価で提供(1袋1~4円)。
 - トレーニングし、組織化した現地農村女性が製品を戸別販売。女性自立に貢献。
 - 現地政府、ユニセフ、NGO等が「手洗い推進キャンペーン」により側面支援。

●住友化学株式会社
 - マラリア予防用に殺虫剤を練込んだ糸使用の蚊帳「オリセットネット」を開発。国際機関の支援により、50以上の国々に供給。
 - 殺虫効果が5年以上持続し、経済的・効果的にマラリアを予防できる点が高く評価され、需要が拡大。
 - タンザニアで生産を行い、約7,000人の雇用を創出。地域経済発展にも貢献。

●日本ポリグル株式会社
 - 水質浄化剤の製造を行っている中小企業(大阪府大阪市)。
 - この水質浄化剤を活用し、バングラデシュにおいて安全な飲み水の普及に取り組んでいる。更に、現地の女性による販売ネットワークを構築中。

投資したその土地で雇用を確保し、消費者を創出する、そして皆が幸せになれるビジネス。豊かで便利、安心できる社会が広がればいいですね。

2010年9月11日土曜日

経営に活かすクラウド(2)

前回はクラウドの概論についてお浚いをしました。いよいよ、今回は経営視点でのクラウド活用について考えてみましょう。
今回は、SaaSに焦点を当て、どのように経営へ寄与するのかをまとめてみました。

1)オフ・バランスによる経営の効率化
  IT資産を経費計上することにより、資産運用の効率化が図れ、また経営効率・企業価値の向上に寄与します。

2)IT維持管理からの開放
 ノンコア業務のアウトソース化により、管理人員の抑制や要員の上流工程へのシフトが図れ、本業への回帰が図れます。

3)経営環境の変化へ柔軟に対応
 短期間で必要とするIT環境を必要なだけ導入することができるため、事業の統廃合や急速な拡大に柔軟な対応が可能です。

4)業務専門性による業務品質の向上
 平準化されたシステム導入により、既存業務の標準化が推進でき、業務品質の向上やスピードアップが図れます。

5)事業継続対応の実現
 データ保全やシステムの冗長性、管理要員の常駐等、データセンタによるにて災害・障害発生などの緊急時での事業継続性が高められます。

如何ですか?クラウド環境をうまく経営に活かす事ができれば採用しない手はないでしょう?
しかしながら、「何を、どの業務に、どう適用するか」をしっかり考えないと逆に非効率となり、経営への足枷となりかねません。

この辺の相談はITコーディネータまでご相談を。

2010年9月5日日曜日

経営に活かすクラウド(1)

以前、クラウドコンピューティング(以下、クラウド)の話題に若干触れました。(「ASPとSaaSの違い?クラウド? 」2009年9月17日木曜日)
今回、このクラウドが経営に対して、どうような関わりを見せるのかを取り上げてみます。

さて、多様な理解をされるクラウドですが、米国連邦政府の機関で工業技術の標準化を推進している「国立標準技術研究所(National Institute of Standards and Technology, NIST)」では、以下のように定義しています。

「Cloud computing is a model for enabling convenient, on-demand network access to a shared pool of configurable computing resources (e.g., networks, servers, storage, applications, and services) that can be rapidly provisioned and released with minimal management effort or service provider interaction. This cloud model promotes availability and is composed of five essential characteristics, three service models, and four deployment models.」

「複数のユーザにより共有され、最適環境を設定・調整可能なコンピュータ資源に、簡易かつオンデマンド・ベースでネットワークからのアクセスが可能な形態のこと。当該コンピュータ資源は、最小限の管理努力やプロバイダの関与だけで迅速に提供され、解除される。」

つまり、「インターネットを介して利用者がサービスの提供を受けるインフラ」を広義に指すのみではなく、実行環境に於いても、利用状況に応じ、柔軟に弾力的に最適な資源の調整がなされ、そして、これらをユーザがサービスとして利用できることに特徴があります。なので、SaaS(Software as a Service)の領域を包含している意味合いが強いことになります。

とは言え、SaaSは利用形態の1つでしかありません。クラウド=Saasではありません。クラウドを構成する利用形態をもう少し分類してみましょう。

●SaaS[Software as a Service]
 → ハードウェアからアプリケーションまでの全てを利用できる
●PaaS[Platform as a Service]
 → ハードウェアやOS、DB、開発ツール等の開発・実行環境を利用できる
●IaaS[Infrastructure as a Service]
 → ハードウェアとその稼動に必要なファシリティ等を利用できる


言葉の定義を云々言っても仕方がありませんが、クラウドは「オンデマンド・ベース」で「必要とする資産や業務領域をアウトソースする」形態なんですね。

その中でも、SaaS活用に於いては、メリットがより大きく、経営効率化を図ったり、事業の継続性が保てます。

今回は前段のお話が中心になってしまい、文章が長くなってしまいました。これらが経営に関わる部分は、次回(来週)にします。