昨今、ネットワークの高速化に加え、仮想化やグリッド・コンピューティングの実用化、技術基盤の標準化、データ連携の簡素化、事業継続性の重視などから、より一層、コンピュータ資源を集約する一つの形態であるクラウド化が加速しています。このクラウド化が台等する中、ITベンダー各社は「新規マーケットの拡大」に傾注しています。その理由として、近年の事例から事業環境に与えられる脅威を次の二つにまとめることができます。
一つ目は、参入障壁が下がることによる競争の激化。クラウド化の環境下では、地理的・時間的障壁及び言語障壁を意識することなく、規模の経済を狙うグローバル企業が容易に参入でき、世界標準を視野に入れた事業展開が行われます。また、会計事務所やコンサルティングファーム等のITベンダー以外の他業種集団に加え、資本力の乏しいベンチャー企業の参入障壁をも下げることとなっています。よって、旧態依然の戦略では事業の拡大は難しく、多岐に渡る競争相手を見極めた上での新たな戦略立案が求められていますね。
二つ目は、既存事業領域でのカニバリゼーション(自己による共食い現象)による、製品・サービスの低価格化と収益の減少。IT業界全般に於いては、ハードウェアの低価格化からソフトウェアビジネスを経て、サービスを中心とする経営戦略を余儀なくされてきました。クラウド・ビジネスへの事業転換を図る過程にある中、今後は既存領域への戦略見直しに拍車が掛かり、差別化と高付加価値化を目指さざるを得ません。
コモディティ化も問題視しながら、今後の市場動向に関心が集まりそうです。
限られた国内マーケットに於ける競争が熾烈を極める中、新たな戦略を立案し、差別化と高付加価値化により新規マーケットの開拓・拡大が急務だと言えます。「現状維持では後退するばかりである」とはウォルト・ディズニーの名言です。新たなマーケットから必要とされる存在にならなければ、事業継続はあり得ないのですね。
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