昨日、ITコーディネータ仲間の定例親睦会に参加しました。恩師とも久しぶりに再会し、楽しい時間を過ごすことができました。その場で「最近、若者が中心であろうゲームセンターが高齢者の憩いの場になっている」と言う話に。
メダルゲームを中心とし、比較的安価で長時間遊べることから、最近、高齢者同士が交流を図ることを目的に集結している様子。少子高齢化でアミューズメント施設も事業ドメインの転換が求められている様子が伺えます。
さて、ドメイン[domain]とは和訳すると、「領土・範囲・領域」となります。つまり、経営学上での企業ドメインは、「企業が生存するための活動領域(事業領域)」を意味します。今回は少々、以前のテーマのお浚いを。
このドメイン定義の考え方には「物理的定義」と「機能的定義」の2つがあります。
「物理的定義」は製品そのものの視点から定義されるもの。つまり、現時点で存在している製品や技術を表しています。場当たり的で、将来的な視野が持てません。このように、製品や技術自体に重点を置き、将来的に斜陽産業となる現象を「マーケティング近視眼」と呼びます。
「企業ドメインで戦え!(2009年12月26日土曜日)」でも書きましたが、この「マーケティング近視眼」を論じ、マーケティング分野で中心的な人物と言われているセオドア・レビット教授(ハーバード・ビジネススクール)は「客は1/4インチのドリルが欲しいのではない。1/4インチの壁穴が欲しいのだ」(1/4インチのドリルが売れたのは、この製品自体に魅力を持つ人が多いのではなく、1/4インチの壁穴をあけたい人が多いから)という言葉を残しています。
一方、「機能的定義」は製品や技術が持つ機能の視点から定義されたもの。こちらは製品や技術自体はいずれは陳腐化するものの、機能面(結果としての効果)に重点を置くことから事業の可能性を広げることができます。
例えば、介護用品店(または介護用品製造会社)が「シルバーカー(高齢者用手押車)の販売」をドメインに位置付けると、既存製品自体の販売強化や追加開発に注視せざるを得ません。
ところが「高齢者や要介護者の社会自立と人との触れ合い支援」をドメインに位置付けると視野は広がります。シルバーカーもドメインに定義される一方、買い物・散歩の補助、疲れた時にいつでも活用できる移動式の椅子など、視点を変えた開発や提案も可能です。サービス事業への転換も図れます。
ドメインの定義に必要なことは、将来的な事業の方向性です。可能性を如何に広げられるかを勘案して決定する必要があります。環境変化に応じてドメインも変化させなければ生きて行けませんね。皆さんの会社は創業時からずっと、無理して同じことをし続けていませんか?
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