先ずはお浚いですが、前回までは経営戦略の策定からIT戦略策定フェーズ、各ベンダーからの提案を受け、選定・契約、IT導入計画策定までの流れに触れてきました。
いよいよ、IT導入に入ります。このフェーズで重要なのは、開発やテスト、移行等の作業を期間とコストを守りながら、品質を維持しつつ、マネージメントすることが必要とされます。そのためには、IT導入実行計画を策定しなければなりません。そこには、プロジェクト全体の整合性を考慮して、「誰が、いつまでに、何をするか」を明確にします。
ここでは多くの利害関係者が絡んできます。「木を見て森を見ず」では、本来の目的である「経営戦略との整合」が守られず、プロジェクトは失敗に終わります。プロジェクトリーダーは臆せぬリーダーシップと的確な判断が求められます。(時にはクールに、厳しく、冷静に!)
しかし、プロジェクトにはリスクが付きもの。リスクを最低限に抑えるためには、事前に想定し得るリスクを洗い出さなければなりません。未だ見ぬものであり、悲観的ではありますが、「あんなことや、こんなこと」をひとつひとつ挙げてゆきます。勿論、その対策も。要件の定義内容が途中で変更したり、仮に見込んでいた帳票が増えたり、クリティカル・パス(プロジェクトに於いて重要なタスクを繋ぐ一連の流れ)を考慮していなかったりと、いろんなケースが想定できますよね。
これらを踏まえて、IT導入実行計画書を仕上げてゆきます。その後は新業務プロセスを決定して行くのですが、全体最適の観点から、「経営者を通じてステイクホルダー(利害関係者:[stake holder])に理解を求める」ことも大切。そして、総合テストの結果、本番開始を判断し、ステアリングコミッティ(プロジェクトの運営委員会)及び経営者から移行の承認を得ます。
このフェーズで大切なことは、実施しなければならないことに対する成果物を明確にすること、社内外の責任・役割分担の明確化、想定されるリスクの洗い出しと、その対策の明確化です。言った言わない、や想定しなかった、では皆が不幸になります。何事も「抽象的ではなく、具体的・定量的に事前に決め、明文化しておく」ことは大切ですね。
今回はかなり表面的にしか書けませんでしたが、次回はIT導入後に於ける「ITサービス活用フェーズ」に触れたいと思います。
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