さて、前回は「IT戦略企画書」をまとめ、経営者の合意・承認を得る。そして、この「IT戦略企画書」に基づいた短期計画を抽出し、「IT戦略実行計画書」としてまとめるところまでを書きました。
今回は「IT資源調達フェーズ(どこから何をどんな風に導入する?)」に続きます。ここではコストや納期、その他諸条件を詰める必要があります。
まず最初に情報収集から入ります。最新のIT動向やベストプラクティス、導入方法論などの外部情報に関しては、ベンダーに対する情報提供依頼(RFI:[Request For Information])を通じて入手し、あわせて、「IT戦略実行計画書」では得られていない具体的な内部情報(内部ベストプラクティスや業務フロー、入出力帳票等)の収集を行います。ここでは、情報の鮮度や精度、信頼性を考慮しなければなりません。
次に、調達要件を明確にします。ベンダーが理解できる形で、現状(As Is)とあるべき姿(To Be)の業務フローや情報モデルを整理します。全体最適の観点からエンタープライズアーキテクチャ(EA:[Enterprise Architecture])の思想・方法論を用いたり、DMM:[Diamond Mandala Matrix]による分析からDFD:[Data Flow Diagram]による構造化を用いたりします。(ややこしいので、この辺は別途、詳細を書くことにします。)
そして、評価基準を明確にした上で、ベンダーリストの作成及び、提案依頼書(RFP:[Request For Proposal])の作成、発行を行います。ベンダーの選定は技術力や実績に加え、財務安定性なども重要な評価点となります。ベンダーの数は4~5社程度が妥当と言われています。多すぎれば説明や対応に要する時間が増え、評価も煩雑になります。少ないと比較が難しく、偏ってしまいます。
各ベンダーからの提案を受け、場合によってはデモンストレーションや事例を要求し、選定してゆきます。契約に関しては、変更ルールや瑕疵担保条件、使用権・著作権等の権利、体制、検収条件、教育方針等、明確にしておかないと、お互いが不幸になります。
ざっくりと早足ではありましたが、今回はここまで。要するにベンダーに対しては、自由で「色」のある提案を受けることが大切なので、ガチガチに提案依頼内容を狭めない、とは言え、要求は明確にすることも大切です。 また、提案依頼書(RFP)に対する質問回答も質問者のみならず、全参加者に対し回答集の発行を行って、平準化と正当化を図ることを心掛ける必要があります。それでは次回に!
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