2009年9月17日木曜日

ASPとSaaSの違い?クラウド?

さて、前回の話で「SaaS(Software as a Service):サースまたはサーズと呼ぶ」が出てきました。今更ですが、「SaaS」って何でしょう?従来聞かれた「ASP(Application Service Provider)」と比べて、何が違うんでしょう?今回は、これをテーマにしましょう。

まず、「ASP」は1998年~99年登場しました。「特定及び不特定ユーザーが必要とするシステム機能を、ネットワークを通じて提供するサービス、あるいは、そうしたサービスを提供するビジネスモデル(ASP白書2005)」と定義されています。

利用者は、必要な機能をダウンロードし、自身のパソコンにインストールする形態もありますが、主として、データセンターに配備されたアプリケーションパッケージを利用者がインターネット網を介して使用する形態となります。利用者はソフトウェアを自社資産として所有するのではなく、定額固定料金を支払い、使用権を得ます。また、契約企業は利用者の増減にも柔軟に対応できるため、導入が容易です。

しかしながら、想定していた程の普及には至りませんでした。原因としては、何点かの課題が存在していたためです。ブロードバンド環境が普及途上であったことやアプリケーション自体がWeb環境に最適化されたものではなかったこと、貧弱なシステム外部連携(API)などがその要因です。セキュリティ面でも不安が払拭しきれなかったとも言えます。

そこで、数年のブランクを経て、「ASP」は、技術的な向上と先進的な考えを携えて、「SaaS」として生まれ変わるに至りました。では、その「技術的な向上と先進的な考え」って、何でしょうか?それは主に、以下を有することが挙げられます。
 
1)仮想化技術によりシステム資源を動的に割り振るマルチテナント化
2)柔軟なカスタマイズ性により業務への対応範囲が拡大しコストを抑制
3)親しみ易いユーザインタフェースにて操作教育に要する時間が短縮
4)ウェブサービスという標準技術による有機的なシステム連携の実現
 
とは言え、デメリットもあります。例えば、カスタマイズ性は高いと言えども、大幅な対応は困難です。また、排他制御に弱く、勘定系には不向きです。そのため、基幹業務系、特に販売管理業務(受注からの在庫引当や出荷連携など)や生産管理業務(所要量計算や工程・進捗管理など)は考えねばなりません。また、環境やデータ移行の面から、易々とサービスベンダーを乗り換えることは困難となり、企業の規模的な拡大には柔軟に対応できるものの、生モノである経営戦略やIT戦略がサービスに合致しなくなった際には厄介です。末永いお付き合いが求められます。

なお、「クラウドコンピューティング」とは、利用者側の目線で使われる言葉であり、「インターネットを介して利用者がサービスの提供を受けるインフラ」を広義に指すようです。因みに「クラウド」とは「雲」のことですよね。これは、インターネットを使った全体システムイメージを図式化する際にモクモクの挿絵を使うことが多く、そのイメージで「クラウドコンピューティング」と名付けられたようです。では!

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